保健室の先生=養護教諭 ですが
保健室の先生は養護教諭だけではありません。
学校看護師として働いておられる方もいます。
最近増えてきている学校看護師
では、なぜ小学校や中学校に看護師が配置されるようになったのでしょうか。
養護教諭ではなく看護師が必要な理由とはなんでしょうか。
今回は
・学校看護師が必要とされる理由
・学校看護師に求められているもの
・学校看護師として働くためには(求人)
この3点についてお話していきたいと思います。
学校看護師が必要とされる理由
行政の傾向
文部科学省は、障害があるなし関係なく、同じ教室で学べる環境作りを進めています。
特別支援学校だけでなく、小学校や中学校で医療的ケアが必要とされる児童生徒も障害のない児童生徒と同じ教室で授業を受けるということです。
今まで、障害のある児童生徒が、障害のない児童生徒と同じ教室で学ぶためには、保護者の方が付き添い、吸引や経管栄養など医療的ケアをが行うことが必要でした。毎日授業中や休憩中、保護者の方が付き添わなければ教室では学べない。保護者の方にとってはあまりにも大変なことです。それでも、「我が子を授業に参加させたい」という親心で付き添っておられたのです。
平成25年 障害者差別解消法の制定
障害者差別解消法は、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を推進することを目的としています。
この障害者差別解消法の制定により、障害の有無に関係なく、すべての児童生徒が同じ空間の中で教育を受けることが推進され始めました。共生の社会を目指す働きです。このことから、特別支援学校のみでなく一般の小学校・中学校にも常勤の看護師を配置する学校が一気に増えていきました。
普通学級での需要
普通学級で、何らかの医療的ケアが必要とされる児童生徒が安全そして安心して授業を受けることができるように必要とされたのが看護師です。
看護師はさまざまな病気に関する知識のみでなく、薬の効果や副作用に関する知識、病気に対する治療や応急処置の方法、救急蘇生等命に係わる知識・技術など専門的知識を修得しています。
その専門性を学校教育にも活かしていこうという考えです。
従来、医療的ケアが必要とされる児童生徒は、保護者が付き添い、吸引や胃ろうや腸ろうから栄養を入れるなどのケアを行っていたところ、その保護者の役割を学校看護師が担う形になりました。
また、今まで医療的ケアや何らかの障害があったがため、特別支援学校に通っていた児童生徒が、一般の学校、普通学級で一緒に授業を受けることができるようになってきたのです。
このように、なんらかの障害のある児童生徒が安全に安心して学校生活を送ることができるように、各都道府県や市町村にて学校看護師を配置する動きとなっているのです。
学校看護師に求められているもの
医療的ケア
学校看護師に求められてるものは医療的ケアの実施です。医療の専門性を活かして、喀痰吸引であったり、人工呼吸器の管理、経鼻あるいは経管栄養の実施、中心静脈栄養の管理、酸素療法中の流量管理、導尿、ストーマの管理、ネブライザー吸入、内服薬の管理等、看護師の資格を保持しているからできる医療行為になります。
ただ、医療的ケアが全てというわけではありません。
対象の児童生徒が安全に、そして安心して学校生活を送ることができるためには、児童生徒の情報を事前に収集しておかなければなりませんし、保護者はもちろん担当医や学校医、訪問看護師、教職員など児童生徒に携わる関係者全員との情報共有・連携が必須となります。
また、医療的ケアに重点を置くことは大切ですが、治療や処置が全てではありません。健康とは身体的、精神的、社会的にも健康であることが前提です。身体面のみでなく、児童生徒の心に寄り添うことができるような人材でなければならないのです。
指導者としての役割
平成24年度の制度改正により、看護師等の免許を持たない者も、医行為のうち5つの特定行為に限り、研修を修了し、都道府県知事に認定された場合には、「認定特定行為業務従事者」として、一定
の条件の下で制度上実施できることとなりました。
5つの特定行為は以下の通りです。
- 口腔内の喀痰吸引
- 鼻腔内の喀痰吸引
- 気管カニューレ内の喀痰吸引
- 胃ろう又は腸ろうによる経管栄養
- 経鼻経管栄養
医療的ケアは看護師が主に実施しますが、例えば養護教諭であったり、科目担当の教員が、認定特定行為業務従事者の資格を取得している場合、この5つの行為が安全に実施できているのか確認したり、なかなかうまく出来ない場合は指導する役割も担っています。
その他看護師の役割
学校看護師の役割をまとめてみましょう。
〇医療的ケア
〇対象の児童生徒の健康管理
(状態観察、症状アセスメント、判断)
〇認定特定行為業務従事者である教職員への指導・助言
〇教職員・保護者との情報共有
〇教職員全体の理解啓発
〇主治医、学校医、その他医療関係者との連絡・報告
〇指示書に基づく個別マニュアルの作成
〇医療的ケアの記録・管理
〇緊急時のマニュアルの作成
〇緊急時の対応
学校看護師として働くためには
学校看護師として働きたいと思われる方は、対象の都道府県の教育委員会のホームページ等で募集要項をご確認ください。
学校看護師は全国規模として増えてきている状況ですが、地方では一般の小学校や中学校に学校看護師を配置していない県も多数あります。特別支援学校での配置も少人数で看護師の募集はあまり出ていません。
求人サイトにも時々学校看護師の求人情報が掲載されるようですが、人口の多い都市部のみです。地方の求人にはなかなか学校看護師は掲載されません。
おすすめとしては、学校教育に携わっている関係者の方に聞いてみる。
例えば、高校のときにお世話になった先生や小学校や中学校、特別支援学校で勤めている知り合いなどです。関係者の方々は、世に出回っていない内部の情報を持っていることが多いからです。
決してそういった繋がりで採用してもらうといったことではありません。情報を基に募集していないか確認することです。
どっちにしても教育委員会を通すことになるので、教育委員会に聞いてみるのも手でしょう。
さいごに…
今回は学校看護師に関してお話しました。
少しずつ需要が高まっている学校看護師
学校での役割は総合病院や個人病院、老人施設とはまた違う役割があります。
なんらかの障害のある児童生徒が、普通学級で学ぶことができる、その手助けをすることができる学校看護師。医療機器の揃っていない学校での看護、急変時の対応など責任のあるお仕事になりますが、やりがいのある、素敵な職業だと思います。
なかなか求人もでない職種になりますが、児童生徒に携わっていきたいと思いの方は、ぜひ、学校看護師を目指してください。
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